芦別物語

耐震強度偽造の構図

しばらく黙っていた。
あまりにも次から次へと出てくるものだから。
世間では未だに犯人捜し、などと言ってる。
業界それも建築設計業界には答えがとっくに見えているはず。

日々現実の業務で施主、施工業者、我々監理設計者、その他コンサルと
深く関わっている者には自明のこと。
この業界はそんなに複雑ではない。

前にも書いたけれど、建設はその文字の如く、単純明快。
積み上げる事。ピラミッド構造をとる事。
そして金の流れが、ピラミッドの頂点から裾野に向かって流れる事。
金の流れイコール力の流れであること。

偽装をした設計者は意匠、構造に関わらず、直接の施主以外の存在。
つまり建設業者やコンサルと金銭的に深く関わっていること。

本来建築設計事務所は「設計施工分離の原則」により成立している。
それが大前提。唯一の存在理由ですらある。
そうでなければ、全員、施工会社の設計部に属すればいいのだから。

この国は、親方日の丸、棟梁制度によって永らく成り立っていた。
すなわち、設計と施工が一緒、同じ組織内でなされていたのだ。
当然、施工の監理も一緒。自分で自分を監理しなさい。
自分で性能目標を定めて自分で守りなさい。
それが普通に行われていた。

それではいけない。分離するのが世界的な規範。
というわけで米国の指導の下、建築士制度が発足し、設計施工分離原則は
徹底されたかと思われた。

が、しかし、あいも変わらず巨大ゼネコンをはじめとして施工会社は
設計と施工が一緒。設計部だけ社名を変える程度。

頼む方もそれが楽だから。今まで問題もない、と思われていたから。
実際は問題はあったはず。それは目に見えなかっただけ。
それが今回、特定の建設会社で一気に噴出した。

利益を追求する施工会社と性能とデザインを追及する設計事務所。
この相反する存在が、仲良くやっていいわけが無い。
監理する者とされる者が同一。あるいは同じ利益の方向に走る。
これは許される事ではない。

事件に関与した設計事務所は、施工会社のいいなり。
つまり下請け的存在だったのだろう。
そうでなければありえない事。

決して「設計施工分離」の立場を崩さない独立系の設計事務所は
大いに憤慨しているはずだ。
我々は戦ってきた。施主の為に。
我々自身の社会的責任を全うする為に。
施主の利益と建築という社会的に多大な責任と影響をもつ物の本来の性能を守る為に。

長い長い時間をかけて我々は信頼を築いてきた。
すなわち設計審査をする行政機関に対しても、
建築士、建築家と呼ばれる事に対する責任も、
役所に行けば、設計事務所が言うのだから、といって我々の法的解釈を
擁護、責任を認めてくれたものだ。

そう、我々は建築基準法という法律の最大の守り手だったのだ。
どこの役所よりも精通し、まるで建築法律家のように自分たちを律してきた者も多い。
それが、それが、施工会社のいいなり設計者によって
こんなにもろくも信頼を破壊されるとは。

どうか分かって欲しい。
金の流れに騙されずに自分を律し、本来の原則に則った
建築設計者がまだ多くいることを。
そしてしっかりと見分けて欲しい。
完全に施工と分離された存在かを。

大手だからマンション業者も施工会社も安心。
という間違った考えがあるのなら捨てて欲しい。
大手というなら国が最大なのだから・・・。
この最大手が何をしてきたのか・・・。

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