芦別物語

父の影

3度同じ夢を見た。
親父が実家の台所に似た場所に立ち、じっとしている夢だ。
私はテーブルを挟んで親父の反対側に立ち、背後に広がる空間を見てる。
親父は毎回同じ立ち位置。私から見てテーブルの左隅に立ってる。
テーブルに隠れて父の足元は見えない。多分影のように消えているのだろう。
父の背後ではパーティーのように華やいだ雰囲気。
最初の頃はピクニックに行く準備かな、と思った。
次々と父の横に人が来てテーブルの上の食べ物を持っていく。
父は何もせずにただ手先だけもじもじ動かすだけで、じっと立っている。
何も言わない。所在なげに立っているだけ。

最初は2月11日の父の命日の前後に出てきた。
てっきり命日のサインだと思って何もしようとしない母をせっつき、実家に行って仏壇に供物を手向ける。
これで終わりと思ったらまた同じ夢を見る。

さすがに考えた。
朝の常磐線。走る列車の中は格好の思案箱。
分かった。3月初めにある姉の姪の結婚式だ。
父はそれに出たいのだ。急いで姉に連絡すると同じ反応が返って来た。

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そして昨日。3月7日が姪の結婚式。
披露宴の大きな丸テーブルの上、父の小さな遺影が姪の方を向いていた。
スポットライト、音楽、ガチャガチャと鳴る食器の音。人々の歓談の声。
賑わいの中に父の影があった。
生前子供嫌いと思っていた父が小さな姪を良く遊びに連れ出していた。
きっと出席したかったんだろうね。
もう亡くなって4年も経つのに。
それもよりによって、一番仲の悪かった私の夢の中に出てくるなんてね。
きっと最初は姉の頭の中、次は最近ボケ気味の母の夢の中にアプローチしたのだろうけど、失敗した。
しょうがなく最後の手段、一族では一番霊感の強い私の中に訴えにきたのだろう。
それも充分控えめに。
ファイル 244-2.jpg

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