芦別物語

油谷のこと

芦別市のHさんから電話が来る。
「蟻さんが亡くなったって、知ってた。」

そう言われて、蟻さんとはメールでしかやり取りしたことがなかった事に気付いた。
電話で声さえ聞いていなかった。
ジンギスカンを半ダースも戴いておいてお返しもしていない自分に気付く。

芦別にどっぷりと浸かりながら、芦別とは距離を置いていた。
親しくなりすぎる事を拒否し、自分のサイトの奥に居座ろうとする人がいると追い出した。
足は海の中なのに頭は雲の上、そんな感じで今までやってきた。
ここは現実ではない。
実際に故郷芦別の縁で人に会うと、イメージが自分が人生で選んできた現実の友人たちとは余りにもかけ離れている事に気付く。

ここは現実ではない。一人つぶやく。
毎日故郷を偲ぶ、なんてありえない。
ありえない事が日常になる。
逃げ出したい。でも置き去りには出来ない。

自分が作り、人が集う。インターネットは現実ではない。今でもそう思っている。
ネットは知り合うきっかけにはなるかもしれない、
でも実際のどろどろした現実の肉と金には代わらない。

そう思っている。
それでも発信したい、自分で何かを作りそれを知らせたい。
世の中は作る側の人と、受け取りそれで楽しむ側の人の2種類に分かれる。
作り手と受け手。電車の中でゲーム機をカシャカシャやる人と、その傍で頭の中でプログラムを組み立てる人。

少なくても、受け手にはならない。そう言いながら生きている。

東京の地元にいるのに中高生時代の事には係わらない。同窓会の幹事をやってても何もしない。
冷たいんじゃない、よく言われる。

そのくせ大昔の親友を探し出して会いたがる。

蟻さんのことも自分のサイトの中に芦別関連の資料を全部集めて封じ込めたかったから。
油谷のこと、聞いたこともないのに。
でも彼の生き方には注目していた。
同じように独立開業し人生を切り開いている。

すると同じような風を身に纏うようになる。
違う生き方の人からは見えない風を。
きっと蟻さんもそうなのだろうな、もしも会う事があったらきっと握手するな、そう勝手に思っていた。

1年前にサイトを閉じると聞いた時に進んで引き受けた。
すぐに自己サイトに取り込んだ。
当初の予想と違い、それは自分の一部にならなかった。
違うエリアをしっかり主張していた。

岩のようにそこに場を占めていた。
ああ、ここにいるんだずっと、溶け込まずに。

このままで行こう。
内部に独立国家を抱えた国のようになった。

そういうことなんだ。そういう・・・。

蟻さんのご冥福をお祈り申し上げます。

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