芦別物語

構造設計偽造に怒る!

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怒る!なんちゅうこっちゃ。構造設計者が計算書偽造じゃ。
マスコミはいろいろ書いてる。確かに構造設計の審査の流れはその通りだ。
しかし金の流れは正しくない。

通常の設計依頼では、発注者→意匠設計事務所→構造設計となるが、
今回のケースでは、発注者(ディベロッパーもしくは建設会社)から中間の意匠設計事務所をすっ飛ばして、構造設計者に直接、間接の依頼があったはず。
そうでなければ構造設計者がわざわざ自分の首を絞める「経済設計」なんぞするわけが無い。
する理由さえ無い。

意匠事務所は通常であれば、自分のお抱えのチームとして構造設計事務所を数社持っている。これは不断の切磋琢磨により生まれた相性と能力の結果である。
新規に雇う場合は大変慎重になる。

しかし、例外がある。発注者から強い推薦が合った場合だ。
これはよっぽどの事が無い限りは断れない。金の流れが生む、圧力だ。
意匠設計事務所は施行部署(建設会社)と完全にフリーでなければ
正しい設計監理は出来ない。これは必須事項だ。

しかし、その下請けの構造設計はそれほど厳密ではない。
むしろ、力と金のあるところにくっつくのが世の常。
その結果、「経済設計」と言う名の恐ろしい罠にはまる。
本来の意味は構造的力の流れを、別の視点から見直し、センス良く最も効率的に
解析するという超高度な技である。
がしかし、単純にコストさえ下げればよろしい、という低レベルの要求が低レベルの建設会社の要求だったりする。
その結果、鉄筋は本来よりも引き抜かれ、耐震強度は平気で下げられる。

えっ?今回のケースだけじゃないのって?
いえいえ、意識の低い発注者と建設会社ではかなり昔から行われていた事。
それを食い止めるのが意匠設計事務所!の筈だが・・・
巧妙に仕組まれるとこれまた分からない・・そう計算書を理解できるのは
同じ構造設計者同士だけである。
あの電話帳のように分厚い数字の羅列は見る気も起きないのだ、意匠事務所にとって。

最初から疑ってかかれば何とか見抜こうとするが・・・。
相当ひどい場合、今回のように通常の配筋より何割も少ない場合はこれはしっかり監理し、経験を積んだ意匠事務所なら見抜ける。
しかしそれも建設会社がぐるになっている場合はかなり難しい。

ともあれ、意匠事務所はすっとばされ、発注者による直接関与が行われても
責任は逃れられない。何故なら、建築確認申請は意匠事務所一社の名の下に
構造も電気も設備も統一され行われるからだ。
構造だけ別会社で申し込むわけではない。
名前を出す以上、逃げる事は出来ない。
何が起こっても、設計上の瑕疵があれば全ての責任を負う。
長い長い現場の監理中、ひと時も心は安らがない。

今回の構造設計事務所には何か異常な雰囲気を感じる。
人間的な感情が読み取れない。むしろ偽造を見抜けなかった審査機関の責任にして平然としている。
それって、咎められなかったら、何でもしていい?の世界じゃ。
わずかな金に身を売る。毛の先ほどの安定に他人の生活の場と生命を危険にさらす。

我々が身を挺して守ってきたものが、がらがらと音を立てて崩れていく。
許せない。

かつてそういう輩と会った事がある。
建設会社サイドがわざわざ、こちらにぶつけてきた。刺客である。

意匠設計事務所は建設会社とは経済的には敵対関係にある。
言うとおりにしていれば、利益が出ないからだ。
見積書に相応の利益を書いて来る建設会社などない。
そんな事をすれば競争で負けるからだ。利益は現場に入ってから。
工事が始まってからが勝負。

と、そこに立ちはだかるのが意匠設計事務所。
施主の正義の味方。テーマソングさえ聞こえてくる。
しかし現場は強い。腕力もある。
豪腕の設計監理者だけが勝ち抜ける。しかし、一方的ではだめだ。
相手の言い分を充分に聞き、何が何でもでは、工事は滞る。
誰も赤字では働かないからだ。
経験と協調と愛と使命感?に包まれ、そして工事が終わると
両者はぼろぼろ・・・。
いつもそうなる。気持ちよく監理者が勝てば施行会社は亡びる。
逆では監理者は信頼を失い、力と金に屈することになり生きてはいけない。

う~、そうそう、昔の続き、送り込まれた刺客とは凄まじい戦いとなり、
両者一時退陣。しかしリングに戻れたのは施主の親戚だった施行会社とその刺客でした。
血は水よりも濃い。その時感じたのはその言葉だけ・・・。
正義はいつも勝つ!わけではない。

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