芦別物語

墓参りにて

奥様の祖母の墓参りに行ってきた。
祖母は約30年前に亡くなっている。だから私は会った事が無い。
2枚の写真で見ただけだ。
でも奥様は祖母が大好きだった。
だから私も命日には一緒に墓参りに行く。

午前中、現場の定例会議。
会議終了後は墓前掃除で汚れてもいい格好なのでそのまま西武線に乗り込み
祖母の墓参りを目指す。

低い太陽が優しく迎えてくれる。
がっしりした御影石の墓前、手を合わせ、夕日を避けるように
目をつむる。ビジョンがスタートする。

オレンジ色の夕日の残像が、まぶたの裏を移動し、2つに分かれた。
そのまま音が聞こえてくる。
光点は2つのヘッドライトに変わり、ぐんぐん目の前に接近してくる。

そこで2台のオートバイだった事が分かった。
2台は目の前でユーターンし大きな車体を揺らして横腹をさらす。

フルヘルメットをかぶり爆音を立てて2台は互いにスピンしながら
スパイラルを描きながら遠ざかっていく。

交互に一つの螺旋を見事に描いていく。
感心して見ていると、やがて1台しか見えなくなった。

そこまでまぶたの裏で見ていて、途端に全てが理解できた。
堪らない寂寥感に襲われる。
そういうことか・・、一人でつぶやく。

2台のオートバイは人生を疾走する僕達二人のことだ。
やがていつかはそれが独りになる。
それでも人は生きていかねばならない。

耐えられないだろうな、そう思う。

横を向くと奥様が例によって口をもぐもぐさせて祖母への報告を続けていた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

画像添付