芦別物語

ディズニーシーの怪

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結婚当初、決めていた事があった。
それは私の誕生日12月30日には
ディズニーランドでお祝いをする、というものだ。
最初の1年目は守られた。寒かったけれど幸せな1日だった。

2年目、風邪で私がダウンした。3年目今度は奥さんがダウン、仕方なく近所のスーパーで牛肉を買ってきて、スキヤキパーティーにした。
そうして、次第に情熱は失せ、ディズニーは遠くなっていった・・・。

昨年、10年目を少し超えた年、復活させようと言う事になった。
そうだ、我が家はディズニーランドにより近くなっていた!
今回はディズニーシーだ!まだ一度も行ってないないぞ。シーは酒が飲み放題だ!
誕生日にはうってつけ。期待は高まった。
ちと寒そうだが、寒いほどに人手は少ないはず。
で、決行した。ミッキーのモノレールに乗り、ミッキーの吊り輪にぶら下がった。
その頃から違和感がじわじわと腹の中に起き上がってきた。
着いた。
そこに見えたのは、寒々とした人口の入り江。
夕陽がこの先はもう無いよ、
と言わんばかりに、水辺の向こう側で赤く揺れていた。

初っ端からつまずいた。ファストパスがじぇんぶ売り切れなのだ。
それだけを当てにしてたのに・・・。がっかりだ。
何とか2つアトラクションをこなした。そこで息が切れた。
始めに水上バスみたいなのに乗ったので体が冷えきっていた。
そう、水はただでさえ冷たい風をより一層冷やしてくれた。

もう食事にしよう、とぼけた顔のお祝いオヤジは提案してた。
しかし・・・、あてにしてたレストランはコトゴトク2時間待ち。
それも寒風の中に立って並ぶのだ・・・。
ありえない!私は叫びそうになった。
今日は私の聖なる誕生日だぞ。皆のもの!
と叫んでみても誰一人動かない。

私は執念深い、そしてまず諦めない。しかも幸福パワー一杯だ。
念じた、何か方法がある。
そして閃いた。そうだ、あの入り江の左奥にあった、へんてこな巨大旅客船、コロンビア号とか言った、あれだ。
場所も辺ぴなら、図体もでかくてダボハゼみたいだ。
あそこなら皆見逃すはず。
急いだ。途中日本レストランで寒さに凍えながら順番を待つ多くの人を横目で見ながら。
着いた。中は信じられない位、美しかった。重厚だ。安っぽい外観と違う。
おまけに僅か2組しか並んでな~い。やったね。20分ほどでテーブルについた。
中は昔の旅客船そのままを再現したらしい。
2段デッキ方式、多分1番よさげな席に着けた。
ピアノ演奏が始まった。昔の制服を着たウェイトレスが動き回っていた。
う~ん、いいぞ、いいぞ。私達は酔った。
ワインと硬い肉に・・・。時計がちょうど生まれた時間を告げた。

その音を聞きながら、さらなる野望がむくむくともたげた。
8時を過ぎて、外に出た。
あれほど居た人々の波が去っていた。ちょうど津波の前兆のように。
火と水の精霊のショーが始まっていた。
閃いた。いまだ、今こそ超人気アトラクションを見るのだ。
今しかない。モーゼが海を分けて渡ったように、
私達は裂けた人波の中を急いだ。食べたばかりの奥さんは「吐きそう」と言った。「吐いちまえ」と私。鬼になっていた。
今日は私の誕生日だ。神様が味方だ。

着いた。ネモ船長の海底2万マイルだ。見たかったのだ~~。
螺旋階段をぐるぐると下りる。だ~れもいない。
やった。先ほどまで2時間待ちだったのに、ゼロ人だ。
横を見る、奥さんは真っ赤な顔をして、怒ってる。
構わん、乗っちまえ。吐いちまえ。
う~感動の潜水亭は深く水の中を潜行していくのでした。

ん、ん、待てよ。水の中?子供用のアトラクションで?
そんな大それた精密機械を作るか?目をこらす私の目に避難灯が見えてしまった。
それも決してありえない水中に・・・。
ぶくぶくと音を立てて上昇。歓声を上げる隣の子供達。
ほんとに水の中に潜ってたんだよね、そうだよ。という親子の会話。
上がってからつい、潜水艇に触れた。一滴もぬれてない。当然だが・・・。

夜はふけ、戻ってきた人の大波にさらわれ、僕らはより空いたアトラクションを渡る。
結局、最高だったのは人魚のショーだった。全く期待してなかったのに
造形と三次元を駆使した縦回転系の動きに魅了された。なはは。

そうして誕生日ショーは終わった。疲れた、けれど結婚したての頃を思い出してくれた、この夜に感謝感謝。
思いっきり応援してくれた神様に感謝。
なにより一緒に企画してくれた奥さんに感謝。シアワセだ~~。

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