芦別物語

またも土曜日

FMから流れる「埠頭を渡る風」を聞いてたら無性に海に行きたくなった。
やっぱ、ユーミンはいいわ、とほくそえむ。風が見える、って表現はすごいよね。
来週辺り海へ、行きたい。う~行きたい。九十九里、銚子もいいな~。あの荒海は得がたい。
でもちと遠い・・。

体が何だか疲れてる、背中が1枚の板のようだ。おかしい??と思ったら
もう2週間休みをとっていなかった。
実施設計が始まり、確認申請を久々に出した。そうする為に日曜日も働いていたんだ・・。
自分で忘れている。体力が落ちたんじゃなくて、記憶力が。。こちらの方がやばい。

建築の確認申請は大きく変わる。6月20日に施行される新法によって。
あの1部の大ばか者たちがやった、構造偽装が日本の建築行政を大きく変える事となった。
これからはものすごい負担になる。構造は2重チェック、設備も時間をかける。
今まで確認申請を通すのに3週間以内という規定があった。
それを忠実に守れるのが民間機関、役所ではこうはいかぬ。ということで期限にうるさい顧客の歓迎を受け、
民間機関は大繁盛、そうなったのはまだ7~8年のこと。

それが大変革する。まるで民間機関への宛て付けのようだ。
これからは申請期間は3倍、申請料もおそらくそれに比例するのでは、と言われている。
ここ数年で爆発的に増えた、高強度RCによる高層マンションも、これからは大幅に規制される。
もう細長いRC構造は特別な場合以外難しくなるのだろうか。
マンションディベロッパーもコスト削減のためにRC造を選択してきたのが
これからは割の高いSRC造(鉄骨鉄筋造)になる。
するとマンション価格に影響する。売りにくくなる。
それにも関わらずにマンション用地の値段は上がり続ける。

これらの悪循環、そして設計業界にも同じ影響が出る。

もっとも、土地が上がり、用地として買えなくなってきたのは、同じ不動産業者が
どんどん吊り上げてるからだ。
最近流行の土地流動化、というのは実態は昔の土地ころがし、と変わらない。
古い建物を土地ごと買取り、リノベーションをかけてから高額で売る。
という手法には美辞麗句に隠されたわながある。

古くて危険で改修に大きなコストがかかる構造は手をつけない。
耐震工法の抜本的改修は行わずに、外観のパッケージだけ新しくして
新品同様、で売り出すのだ。
これじゃまるで、年をとって骨も皮膚もがたがたになった売れない芸者に無理やり美容整形を施して、若い子でっせ、と高額で売りに出すようなものだ。
実は古くから日本の不動産業者には建物はオマケ的な発想がある。
本体は、真の狙いは土地そのものなのだ。

土地はリニューアルもリノベーションも出来ないから、上物である建物をいじる。
そして転売していく。バブル期に悪評を買った手法を建物を隠れ蓑にしてやっているだけ。
それらを可能にしたのもファンドである。何にどれだけ自分で投資しているのかも知らない一般の投資家が不動産ファンドに資金を出す。
すると真の価値ではなく、いくらで貸し出せるか、一部屋いくらで貸せるかの計算だけで、その場限りの収支だけでどんどん取引が成立していく。
資金が贅淳にあるから、回転を続ける。
見ていると金色の巨大な水車がファンドという流れを受けて音を立てて廻っているのが見える。
ありもしない価値に踊らされて。バブルを知らない若手世代が台頭しているのも興味深い。

ひどい業者は売れそうな土地を買い、しばらく寝かせて、設計企画付きで高額で転売したりする。
つまり何もしないまま、付加価値すら付けずに堂々と転売する。

かくして業者は土地を転売し、利益を得る。
それを見た一般の地主も、自分の土地はもっと上がると期待する。
売り渋る、上がる、転がす。あ~こうやってバブルはやってきたのに。
また同じだ。でも少し違うのは人件費がさほど上がっていない事だ。
だからバブルじゃない、と言い張る人も多い。

不動産業界ではとっくにバブルですから・・残念!。古いか??

もうやめよう、もう帰ってしまおう。
本当に住む人の為の集合住宅を殆ど作らずに、この国はマンション余り大国になってしまった。
同じような、個性の無い、高密度で息がつまりそうな建物だけが大量に残った。
責任は我々にもある。力が足りなかったのだ。
顧客を粘り強く説得する忍耐が欠けていたのだ。

目先の利益が大きな要因で、それを保証するのが過去のデータ。と思い込み
売れた過去の実証だけが唯一の手がかり、とばかりに押し付ける。

建築家は過去なんぞ見ない。あるべき未来だけだ。誰も見たことの無い未来。
でも我々の頭の中には数十年考え続けたものすごいアイデアとデータがある。
それを説得させるのは並みの手法ではだめだ。
いつも時間切れで事業主に押し切られる・・。
かたや上場の売上げ数百億の巨大企業、片や小さな有限設計会社・・。

あ~そう言いながらも、明日もマンションの設計をする。
ほんの少しだけ私らしさのエッセンスを散りばめて・・・。
砂浜に1粒の真珠を埋めておくように。

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