芦別物語

それぞれの秋

最近、転機を迎えた人に会う事が多い。

かつてのクライアントだったMさん、「いや~やっと、やっと良くなりました。」
そう言って、振り向きざま朝陽にきらめく顔を上げた。
久々に見た力と輝きを取り戻した経営者の顔だった。

長びく病気に体調を崩され、会社もこの失われた時代に輝きを奪われていた。
そうですか、光を取り戻したんですね、心の中でエールを送る。


友人のY氏、事務所に遊びに来た。ビールとつまみを持って。
大きな決意をしたようだった。話しながら、つまみのナッツを強くかじった時に
一緒に口の中の皮膚も切ってしまった。
かなりの出血だった。それを見ながら、不思議な感覚に捕らわれていた。

口の中のこと、言い出せなかった事、大事な人に・・。連想した。

さらに話していくと、この感覚が当たっている事が分かった。
秋の風に押され、彼は飛び立つのだろうか。
大きな大きな転機だ。


他にも、長い引きこもりのような生活から脱却しようとしているH氏。
同年齢だけど未だに独身。このパターンも少なくない。
彼は9月から新天地を目指す。いいパターンだ。


古い友人のT氏は、最近難病が判明。長い治療が必要らしい。
元気この上なく、生活もうらやましい限りだったのに。
彼は、この秋から病気との闘いを始める。


私は私で独立開業して以来、何度目かの大きな転機を迎える。
第1段階の脱皮をほぼ終了した。
古い殻を脱ぎ捨て、ふにゃふにゃした新しい頼りない殻をまとい始めた。
今は最も無防備な時期だ。守ってくれるパターンを持たない。

経営的にも大躍進一歩手前の助走後退時期だ。
低く頭を下げ構え、知らない人から見たら
守りに入り固まったようにも見えるだろう。

新しい皮膚が風に触れ、ひりひりと痛む。
不思議な期待と冒険への船出の高揚感。
髪の毛が逆立つほどの、ちりちりした興奮に包まれている。

うまくいく保証など何も無い。
でも確信している。
自分の力と、導いてくれる人の力を。

生きる事は人と人との出会い。起こる事は全てベストチャンス。
自分で全て選択し進まねばならない。
人にとって良い悪いは関係ない。
望むように、望むように、人生は進み続ける。
多くの人の力に助けられて。

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