芦別物語

あぶない建築

相談を受けた。建設会社の作成したマンションの設計案が不安なのだという。

拝見したら、12階建て、SRC造、1:6の塔状建物、かつその本体に
1:12のEVと階段のシャフトが取り付いている。
これだけだったら驚くことではない。
が、そのシャフトの平面は2.7×6.7mなのだ!それで高さ35mまで立ち上げる!!
ありえない。ねじれゆがみ転倒じゃ。そこまで行かなくても揺れてどうしようもない。当然シャフトはS造だろうけれど。
手元に30cmの物差しをお持ちなら手にとってほしい。
そう、その程度の断面しかない。
仮に出来るとしたら高圧線鉄塔のような構造、しかし物凄いコストと技術力が必要だ。
危険です、構造上まず成立しません。
と答え、正しいと思われる別案を作成提出した。

それだけではなかった。元の設計図には避難階段としての要件も条例上求められる避難通路幅も、指導上の管理室、エントランスも電気設備のスペースも全く無かった。
すべてが相談者を喜ばせる為の演出だった。
その上、SRCではなくS造の図面になっていた。
建設費も工法も工期もすべてがS造でしか成立しない条件だった。

が、がしかし相談者は別の2つの設計事務所にも相談し、そこではOKだという返事をもらっていた。
私だけが反対者となった。そして安心と保証の言葉を得た相談者は
その建設会社への発注を決めた。

危険も無い、嘘も無い、価格も安い、工期も短い、1階に必要な施設がないため収支が抜群である、融資も全額取り付けてある。という条件で。

しかし、よく考えてほしい。そんなうまい話など無いのだ。
工事は進むだろう。なにせ融資は下りている。引き返せないから。

何かが破綻する。工法か、規模か、金額か、そして何より恐ろしいのは
そこに住むであろう人々の命の安全が・・・・。
その時に一体相談者にOKを出した設計者は責任を取るのだろうか?
答えはNO。誰も、本人以外の誰一人として・・。

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